男にとって結婚生活で大事なのは、いかに居心地よく暮らせるかということです。だから、「愛している」とは言わない。家事もしないという夫でも、妻の機嫌が悪いときには無条件に機嫌をとる。夫婦が快適に暮らすための環境づくりを整えるためには。男は動くんです。男は愛しているなんて言葉以前に、お互いが快適だと思える環境づくりをすることがいちばん大切なことだと思っているんです。妻の不機嫌な目線だけでも取っておかないと、一緒の部屋にいるだけで疲れてしまう。だから、できるだけ早めにケアしておきたい、と考えるんですね。そこを逆手にとって、不機嫌な態度をとることで、男に機嫌をとらせて愛情の確認をする女性がいますが、男が「機嫌をとっている」のは「愛しているから」ではないんです。機嫌をとるというのは、媚びることなんです。愛するというのは、何の見返りも保証も要求しない。媚びを売るということとは、正反対のところにあるものだから、「機嫌をとる」というのと、「愛している」というのは結びつかないんです。それなら、なぜ機嫌をとるのかと言えば、一つには「而倒くさい」というのがあります。たとえば、水道から水がチョロチョロと漏れていたら気になります。排水溝の部分からビーンという音がいつまでも響いていたら、それだけでイライラしてくるでしょう。機嫌をとるというのは、水道から漏れる水や排水溝から聞こえてくる音の、その根源を取り除きたいということなんです。ときには、自分に後ろめたいことがあって、機嫌をとるということもなくはないでしょう。機嫌をとっておけば、最終的に許してくれると思っているし、とりあえず、激昂させてはいけないという思考が、そこで働くわけなんです。男は、「妻」が爆発したときの怖さというのを知っています。そんな気配を感じたとき、まず男は、このエネルギーを逃さなければいけないと思うんです。たとえば、肩が凝ったときに、いきなり鍼を打つとすごく痛い。それは神経が緊張しているからなんですが、そういうときには、まずいったん凝った部分をほぐしてから、次にお灸で温めて、それから鍼を打ってあげると痛くないし、よく効くんです。これと同じで。爆発寸前の妻は、温めなければならない。ケーキや花を買って帰ったり、「こんどの日曜日、ご飯でも食べに行こうか」なんて誘ってみたりする。緊張をほぐして、妻の中から怒りのエネルギーを逃そうとするんです。そうして機嫌をとることが、二人の関係をよりよく保つための、男にとっての環境整備の一環なんです。