本田技研の労働者の賃金の特徴をみてみよう。本田技研では、他社にさきがけて役職者の年俸制、役職任期制、早期退職優遇制度などが導入され、より実力・実績にウェイトをおいた評価と処遇をおこなう人事制度への改定がおこなわれている。賃金体系でも、他社にくらべて能力給的色彩が強い体系となっている。本田技研の労働組合は、ベースアップ重祝の取り組みにより、優位性回復をめざしてきたが、社会的な水準比較や産業内での位置づけをみると、若年層の水準は相対的に改善されず低い状態にある。高卒作業職のモデル賃金(1994年)で比較すると、本田技研の賃金は18歳初任給賃金でトヨタより高いが、5社中2番目に低くなっている。トヨタを100とすると、20歳で91・2と、大手5社で最低となり、25歳では90・5とその差が開いて、金額では2万800円低くなっている。その後の27歳程度までの若年層の水準が低く抑えられているのが本田技研の特徴である。つぎに、労働時間の現状をみてみよう。本田技研の労働時間は、自動車会社のなかで1番短い。1994年では、総労働時間が1917時間と、大手5社のなかで最も短く、1番長い三菱自動車と比較すると132時間も少ない。三菱自動車のばあいは、唯1、2000時間を超えて2049時間になっている。また、勤務形態は連続2交代制が採用されている。トヨタのばあいと比較してみると、早番の拘束時間は8時間45分で同じだが、異なる点は、遅番の拘束時間は8時間25分で本田技研のほうが20分短いことと、午前0時前に終了することである。トヨタの連続2交代制のほうは、早番と遅番の間に残業のための1時間の間隔が設定されており、遅番の終了時間が午前0時をすぎて午前1時になっている。景気の後退に影響されつつも、1990年以来、総労働時間が減少傾向にあったものが、94年には三菱自動車を除いて増加に転じている。
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