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スーツを着るために生まれてきたような人

東京でテーブルコーディネイターのアシスタントをしている彼女は、まさに、スーツを着るために生まれてきたような人だった。黒と赤の大きな千鳥格子のツイードのスーツ、ウエストにリボンのあるキッドモヘアのグレーのスーツ。いつも彼女のスタイルは、ウエストがきれいにシェイプされた女っぽいラインのスーツと決まっていて、膝丈のタイトスカートから伸びたナチュラルストッキングに包まれた脚が細くて丸くて、ああ、なんて日本人らしい可愛い脚だろうと女の私でも感心するのだった。そして靴は必ず七センチヒールのパンプス。知り合って十年、そのスタイルはまったく変わらなかった。コーヒーをひと口すすって彼女は言う。「それがね、ここミラノに来たら自分の着ている服がちっともよく見えなくなってしまったのよ」「ああ、それね」と私。「ミラノに来たばかりの時は、みんなそうなるのよ。私もそうだったもの」